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第二章 夢のまた夢
(izumo side)
朝にうざったい担任の声を聞いて一時間目が始まる。
砂名もうざったそうに担任の声を聞いている。
もうすぐ文化祭だから、今日の学活はそれについて決める、とか、なんか話してたけどその部分しか聞いてなかった。
周りは真剣に聞いてる人もいたけど。
いつの間にか担任が教室を出ていて、目の前には砂名がいた。
「出雲、次の授業って理科だから移動教室だって」
「あ、そうなの?じゃ、行こ」
「あのねーー、出雲。それ私のセリフなんだけど」
「あぁ、ごめんよー」
ちょっと意地悪な顔で言って見た。
「わかってたでしょ」
こんなくだらない会話でも幸せだと思ってしまうあたしは可笑しいのだろうか。
理科室までの距離はそんなに無いからすぐについた。
「朝の先生の話し聞いてた?」
砂名があたしに少し困った様な顔をして聞いてきた。
「文化祭ってゆう単語しか聞こえなくて…」
砂名はそんなにぼーっとした性格じゃなかったと思ったんだけど。
「あたしはちゃんと聞いてたよ。砂名と違ってね」
くすっと笑うと砂名はうぅ~とうねっていた。
「だって…さっき……、うぅ~」
ん?砂名の様子がおかしい…。朝は普通だったのに。
「砂名。どうした?なんかあったのか?」
そういうと砂名は黙ってしまった。
本当になんかあったんだ。
「砂名?」
「……出雲」
「ん?」
「これ、見て」
そう砂名はいうと、自分の携帯をあたしに見せた。
その画面はメールの受信ボックスで。
文面はこうだった。
『001 09/28 08:45
from お母さん
sab 早く帰って来て
――――――――――
あんた、転校するかも
しれない。
』
「どうしよう…」
砂名は不安そうにあたしに言った。
「これは、まず家に帰って、おばさんに聞いてみなよ、難しいこと考えるのは、それからでいいんじゃない?」
らしくないぞ、と砂名に向けて言った。
あんまりにも、不安そうだったから。
「……そうだよね、らしくないね」
「おっ、戻った!!!いつもの砂名だね」
「うん!!元の私に戻ったよぉ~。心配かけてごめんね、出雲」
「全然!!あ、チャイム、鳴っちゃった」
じゃあねと砂名は自分の席に戻っていった。
砂名は大丈夫なのかな。
もしかして、あたしと同じ道を歩むことになってしまうかも。
砂名に自分と同じ道を歩んで欲しくない。
あんな思いをするのは、あたしだけでいいんだ。
ここは、小説を書くための、ブログです。
長くなりますが、どうぞ宜しくお願いします。
では、どうぞ。
第一章 いつもの会話
(sana side)
いつもの道を、いつもの時間に歩いて、いつもの時間に学校につく。
毎日毎日、同じ事をして、同じ授業を受ける。何処にでも居る様な友達と他愛もない話をする。
こんな毎日に嫌気が差すことなんて、前々から思っていたこと。
季節はもう秋の色を出し始めてきていて、私の通う中学校も冬服に衣替えをしていた。
私の通う学校は、少しキツイ丘の上にあって、その通学路に春には綺麗な桜並木が連なっている。
今の時間は8時ちょうど。
そろそろあいつがやってくる時間になってしまった。
ここから早く離れなければ。
「あっ!いたいた」
その声が聞こえて私は走り出した。
あいつに追いつかれないように。なるべく早く。
「あー!ちょっと!!」
後ろから批難の声が聞こえるけど、そんなのお構いなしに走る。
でも、私がいくら全速力で走っても、クラスの中で普通の足の速さの私と、クラスの中でトップの足の速さを誇るあいつには悔しくも勝てるわけがない。
だから、すぐに捕まってしまう。
ぱしっと何かを掴む音がした。
それと同時に私の足は先に進むことができなくなっていた。
「捕まえたっ!毎日毎日よく走るよねー。疲れないの?砂名は」
「・・・・・うるさいよ。っていうか呼び捨てにしないでくんない?鷹埼」
「はいはい。ごめーんね。篠崎ちゃん」
憎たらしい笑顔で笑ったあと、ぱっと私の掴んでいた腕を放した。
その時、後ろから声がした。
「やっほ!奇汐、砂名」
明るい少し高い声が聞こえた。
それはつい先日、この学校に転校してきた可愛らしい女の子だった。
9月の下旬という随分中途半端な時に転校して来た。
『加瀬 出雲です。よろしくお願いします。・・・趣味は、・・・・・・・・・・・・・・・ないです』
という簡単な自己紹介しかしなかった。
でも私にはなんだかそれがとても気に入ってしまった。
思うと、出雲は9歳まで一緒に遊んだ仲だった。親が離婚して、母方の方についていったから、転校をすることになった。
必然的に引越しもするわけで。
母方の実家にいったんだ。
「砂名、どうしたの?入らないの?」
「あ、ごめん。考え事してた」
「そう」
出雲に話しかけられて、自分が独りの世界に入ってしまってた事に気がついた。
よくあることだから、周りも気にしてないし、私も気にしてない。
そして私たちは教室に向かいながら話をする。これもいつものこと。
「鷹埼、あんたは早く自分のクラスへ帰ったらどう?」
「ぅわっ!きっつ!きっついよ。篠崎ちゃん」
「当たり前じゃない?奇汐は砂名に何回抱きついちゃったりしたと思ってんの」
早くあっちに行きなさいと奇汐に対して少し冷たい態度をとる出雲。
その理由は、出雲は砂名LOVEだから。
中学校から砂名と出逢った奇汐と出雲は従兄妹なのだけれど、出雲が転校してきて奇汐が砂名に付きまとってると知った途端、態度が冷たくなったのだ。
「出雲も冷たーい!!」
もうちょっと優しく出来ないわけ!?と喚く奇汐を無視し、教室に入っていった砂名と出雲。
また後でくるからねぇ~と後ろで声がする。
「まったく、もう」
出雲がぽろりともらした言葉。
出雲の性格は私が一番わかってるつもり。つもりだけど実際私が一番理解してると思う。
外見はおしとやかなお嬢様な雰囲気を醸し出しているのに、内面は少し乱暴的な言葉を発する女の子。
結構友達で終わるタイプだと思う。
かたんと自分の席に座って、鞄の中から筆記用具やら何やらを出す。
必要なものだけ出したあと、出雲の席に向かった。
「今日黒橙先輩んとこ行くの?」
出雲が少し楽しそうに言った。
「行くよ。いつも行ってるじゃん」
「そうだったね」
黒橙先輩とは、中学校の先輩で、私のもう一人の幼馴染。出雲は小学4年の時に転校してしまったから、黒橙先輩とは1年の付き合いしかない。黒橙先輩は私が3年の時、黒橙さんが4年のときに転校してきたから。
今日――――つまり、月曜日、木曜日にいつも会いに行っている。いや、会いに行かされてる、と行ったほうが正しいかもしれない。
黒橙先輩――――黒橙飛鳥は3年生の先輩で、この学校の生徒会長で頭も良くて、それでいて容姿もいいという完璧な人。
「いつも思ってるんだけど・・・黒橙先輩んとこいって何話してんの?」
「なにって・・・普通の話しだけど?」
「普通って何よ」
「あれ・・・普通よ、普通」
「・・・・・・・例えば?」
出雲は呆れた様な顔で言った。
「例えば・・・あ、出雲の話ししたよ、この前。出雲ってほんとに変わんないよねぇとか」
「ふ~ん、そんな話しかしないんだ~」
「そんなもんだよ」
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン
お決まりのチャイムがなって、皆が席につく。ちらほらと席につかない生徒もいるけど。
「じゃ、また後で」
「うん」
出雲に挨拶をした後、私は自分の席に戻った。
最近、思うことがある。
私は何故ここに居るのか。
考え出したらきりがないけど、考えてしまう。
何のためにここにいるのか。
誰の為?
私の為?
誰の為でもなく、自分自身の為だけに生きている人が大多数だと思う。
でも、私は?
自分の為でもなく。
他人の為でもなく。
なんとなく生活をしている私には、未来があるのだろうか。
その答えは、NO。